アアルト自邸はムンッキニエミのリーヒティエ通り10番地にあり、急崚な丘の斜面上に立地しています。内部は仕事用スペースとプライベートスペースが適度な距離感を保ちながら、無駄のない機能的なデザインが図られています。アアルトは「正当な理由がない限り何もすべきではない」と考えており、自邸ではその手法を強く主張しているように感じました。
インテリアは布、繊維マット、木などシンプルな素材を使い、フィンランドの古い農家を表現していました。リビングルームにはアアルトによる数々の作品が無造作に飾られており、当時の暮らしぶりをいきいきと表していて、面白い展示方法がとても印象的でした。随所に設けられた窓からのぞかせる庭の景色は、絵画を思わせるインテリアのように感じられ、狭い空間を開放的な広がりに見せる手法は見事です。(記:北田莉沙)